ⅳ.
「……迷った」
往来の真ん中で立ち尽くして、ベルはつぶやいた。
ここがどこかもわからない。
似たような建物ばかりの道が入り組んでいて、来た道を戻ろうにも、もう自分がどこから来たかすらわからない。
リュカにもらった地図の通りに進んでいたつもりで、どこで間違えたのかもわからない。
とりあえず誰かをつかまえて道を訊こう。
声をかけても迷惑じゃなさそうな人はいないだろうか、と、きょろきょろとあたりを見回していると。
「……あ、あんた!」
ベルと目の合った一人の男が、ベルを指さして声を上げた。
――レイエ工房の男だった。
「偶然だな。あんた、入れてもらえる工房は見つかったのか?」
男はそう言って、「まぁでもまだだろうな」と、人を小馬鹿にしたような笑みをベルに向ける。
ベルは首を横に振る。
「いえ。見つかりましたよ」
「え!?」
「ルルー工房に徒弟として迎えていただきました」
「……迷った」
往来の真ん中で立ち尽くして、ベルはつぶやいた。
ここがどこかもわからない。
似たような建物ばかりの道が入り組んでいて、来た道を戻ろうにも、もう自分がどこから来たかすらわからない。
リュカにもらった地図の通りに進んでいたつもりで、どこで間違えたのかもわからない。
とりあえず誰かをつかまえて道を訊こう。
声をかけても迷惑じゃなさそうな人はいないだろうか、と、きょろきょろとあたりを見回していると。
「……あ、あんた!」
ベルと目の合った一人の男が、ベルを指さして声を上げた。
――レイエ工房の男だった。
「偶然だな。あんた、入れてもらえる工房は見つかったのか?」
男はそう言って、「まぁでもまだだろうな」と、人を小馬鹿にしたような笑みをベルに向ける。
ベルは首を横に振る。
「いえ。見つかりましたよ」
「え!?」
「ルルー工房に徒弟として迎えていただきました」