そして。
「行くところがないのなら、俺のところへ来い」
相も変わらず無表情で、ベルを見下ろしてそう言った。
「……え?」
「パリの中でも小さな工房だが、それなりのパトロンがついている。おまえもう一人くらいなら養えるだろう」
何を言われているのかとっさに理解できず、ベルは目をぱちくりさせるばかりだ。
そんなベルに、エドガーはさらに言う。
「返事は今でなくてもいい。もし俺の工房に入る気があるなら、ルルー工房を訪ねて来い」
「え……。それって、……弟子として迎えてくれるってことですか?」
信じられない、と言いたげな顔でベルが言うと、エドガーは呆れたように肩をすくめた。
「さっきからそう言ってる」



