【一花side】
コテコテのお嬢様学校に通わされ、色を失った毎日。
もう涙も出ないや………。
「おかえりなさいませ。お嬢様」
「…ただいま」
家政婦さんが口を揃えて言う。
部屋に1人になっても、だだっ広い部屋は落ち着かない…。
「はぁ〜…もう走って逃げ出しちゃおうかな…」
そっちの方がずっと楽。
お父さんなんて無責任に、あれから姿見せないし。
紫音に会いたい……。
部屋に引きこもりっぱなしだもん。
シェフが作った夕食後、部屋のドアが数回ノックされた。
きっと、家政婦さんだ…。
「はい、どうぞ」
「失礼します。初めまして。君が、一花ちゃん?」
「そ、そうです…。初めまして…?」
細身のスーツを着こなし、優しく微笑む男の人。
大学生くらい、かな?
「そっか…。君が俺の妹か…」
「へっ?」
「あ、ごめんね‼︎急に‼︎俺、森野旺太(モリノ オウタ)‼︎一花ちゃんよりも3つ年上の大学2年生‼︎よろしくね」
「よろしくお願いします…。あの〜…妹ってどうゆう?」
「まぁ…カタチはどうであれ、俺の妹なんだよ。うんっ‼︎」
旺太さんは、まるで自分に言い聞かせてるみたい。

