そして、あたしの無機質な毎日が始まった。
経験したことのない様なお嬢様扱い。
食事はシェフ、着替えは家政婦さん、学校の送迎はお抱え運転手。
「行ってらっしゃいませ。お嬢様」
「…ありがとうございます。行って来ます」
伝統ある有名お嬢様学校に通わされ、退屈な毎日。
これじゃあ、学校ってより花嫁修業だよ…。
せめて、スマホが使えたら良いのに。
スマホはお父さん管理の元、没収されてしまった。
「森野さんって、スマホとか持ってないの?」
「あ…うん。うちの親厳しくて…」
「あら‼︎随分と古風なお家柄なのね〜」
友達も出来やしない。
別にいらないんだけどね…。
自由がある様で、どこにも自由はない。
あたしの味方なんていない。
ただ、紫音に会いたくて会いたくて仕方ないだけ……。
〝チビ〟ってバカにして良いから迎えに来てよ…。
紫音を思う度に、胸が痛くて涙が溢れる。
もう一生会えないのかな?
そんなの絶対にヤダ……。
あたしずっと待ってるよ。
だから早く迎えに来てよ…紫音。

