不安と恐怖。
今のあたしにはその感情しかない…。
車に揺られること約1時間。
大きな鉄柵が開き、ゆっくりと車が洋風の屋敷に横付けした。
「さぁ、一花。降りて?」
「あの……ここはどこですか?」
「一花の本当の家だよ。今日からここに住んでもらう」
「でも‼︎学校は⁉︎ここからじゃ、今の学校遠いし…」
「心配するな。転校届けは出してある」
転校?
今日から違う家?
勝手に話が進み過ぎて意味分からないよ‼︎
「こんなのひどい‼︎今までほっといたのに急になんですか⁉︎」
「一花、よく聞いて。森野家には、18歳になったら嫁ぐ規則がある。だから、一花はここで花嫁修業も兼ねて生活するんだ」
冷や汗がツッーと背中を流れる。
もしかして、あたしは………
「結婚相手はもう決まってるから安心しろ。医療メーカーの御曹司だ。やはり、将来は医者と会長職を務めるらしい」
紫音と一緒にいられない……。

