【一花side】



家の門の前で繋いでいた大好きな人の手を離す。


また明日も会えるって分かってるけど………


ちょっと寂しい瞬間なの。


「じゃ、また明日な」

「うん。気を付けて返ってねっ」

「お前こそ腹出して寝て風邪引くんじゃねーぞ」

「腹巻きして寝るので大丈夫ですぅー‼︎」

「ははっ‼︎それ普通、彼氏の前で言うか‼︎」


お腹を抱えて笑いながら、右手がそっと私の髪を撫でる。


すごく心地良い……。



名残り惜しくも紫音とバイバイして、あたしは祖父母が待つ家に帰宅。


「ただいま〜‼︎……あれ…?」


石畳みの玄関には見慣れない革靴。


多分、男の人。


きっと、おじいちゃんの老人会のお友達でも来てるんだ。


居間へのドアを開けると、想像以上に若い40代ぐらいの男性が…。



「あ…一花、おかえりなさい」

「ただいま…。おばあちゃん…」

「旺吏(オウリ)、一花よ。大きくなったでしょう?」

「あぁ。大きくなったな、一花」


誰…?


あたしのこと知ってるの?