【紫音side】
大輝、一花と同じクラスなのはマジで良かったと思ってる。
この厄介者を除けば最高だったのに………。
「ねぇ、話聞いてる?」
「聞いてるっつーの…。だから、そこ通せ」
「ヤダ。教えてくれるまで通さない」
嫌味ったらしく細長い脚で教室の出入口を塞ぐ女。
ヨーロッパを拠点に活躍してるモデルの花田茉夏だ…。
「なんで彼女の一花に隠してんの?」
「お前に関係ねぇだろうが」
「恥ずかしいの?モデルの仕事にプライドないの?」
「俺、便所行きてぇだけなのに……」
なんで尋問受けてんだよー‼︎
ついこの前、茉夏に見破られてしまった。
俺の父親が経営する『lock』の専属モデルだって事。
あぁ……ほんとに厄介…。
「一花に言っちゃおっかな〜」
「脅してんじゃねぇよ。ぜってー、一花に言うなよ⁉︎」
「購買でメロンパン買って来てくれたら許す。あ、クリーム入りのやつね」
「…っ‼︎分かったよ‼︎」
そして、よく食うんだ…このモデル。
口止め料で良い様にパシられてる俺。
一花にバレるのはまだ早いだろ。
仕方ねぇよな………。

