案の定眠れないあたしはベッドに正座したまま、スヤスヤ眠る紫音を眺める。
男の子なのに女の子より長そうな睫毛。
高い鼻に、いつもキスしてくれる唇。
こんなに完璧な人が彼氏なんて、今でも夢みたい………。
そっと金髪の前髪を指先で触れる。
すると、眉間にシワを寄せた紫音があたしの指をきゅっと掴んだ。
「寝込み襲ってんじゃねーよ…」
「起きてたの?」
「いや、好きなヤツが側にいるから眠り浅いだけ」
「あたし授業出たいから教室戻るよ」
「行かせねぇ。つーか……手、繋げよチビ…」
寝ぼけてるの?
あたしがそっと手を握ると、ちゃんと握り返してくれた。
数分で規則正しい寝息が聞こえた。
保健室のカーテンから差し込む冬の日差しがあたし達を包み込む。
春はもうすぐ。
これからもあたしなずっと、ずーっと紫音が大好きで。
側にいてほしいな……。
だから、紫音もあたしのことずっと好きでいてね?
気持ち良さそうに眠る紫音の額に、そっとキスをした。

