エスカレーターに乗り、一つ上の階へ進むとメンズショップがずらり。
あたしのばっかじゃ紫音も暇だよね…?
「紫音に似合うの見付けてあげる‼︎」
「いや、俺はいいや。お前、自分の服見たいんじゃねーの?」
「あたしは満足しちゃったもん。ほら、行きますよっ‼︎」
「センスねぇの選ぶなよ⁉︎」
そんなに警戒しなくたって良いのに〜‼︎
紫音の腕をぐいぐい引っ張り歩いてると、また見付けてしまった。
紫音にそっくりなモデルさんのポスター。
「おい、イチゴ。何ボケっとしてんの?」
「へっ⁉︎あっ……ううん。なんでもない‼︎」
「彼氏に隠し事なんて生意気じゃーん」
「ふぇっ⁉︎えっと〜…あの服屋さんのポスターのモデルさんが……」
「お、おう…。あのモデルがどうした⁉︎」
なぜか紫音が目を逸らす。
しかも、焦ってない?
「…っ‼︎勿体ぶんなチビ‼︎イチゴ‼︎バカ‼︎」
「悪口ばっか⁉︎あのモデルさん、カッコイイって言いたかっただけなのに…」
「はい、それもっかい言って?」
「へ?カッコイイ…?」
なんで、紫音が喜んでるの?

