ほんのちょっとだけ、心が温まり帰る事が出来た。
トボトボ徒歩15分の道を歩けば、見えてくる瓦屋根の我が家。
おじいちゃん、おばあちゃん、あたしの3人暮らし。
物心ついた時から既に両親はいなかった。
理由は今だに聞いた事ないけどね…。
「ただいま〜」
「おかえり、一花。今日も学校は楽しかったかい?」
「えへへっ、楽しかったよ‼︎」
「そうかい。それなら、良かったねぇ〜」
おばあちゃんが優しく微笑む。
小さい時から、寂しいなんて感じた事なかった。
それも、おばあちゃんのおかげ‼︎
「一花〜‼︎見てくれ、これを‼︎」
「お、おじいちゃん…。どうしたの、それ?」
「老人会のチェス大会で優勝したぞ‼︎ずっと、手に入れたかったんじゃ〜‼︎」
おじいちゃんが大切そうに抱きかかえる一升瓶。
何よりも大好きなお酒ですね…。
老人会の囲碁、将棋、麻雀、チェスなどなど………
参加して来ては必ず優勝して帰って来るんだよね。
あたしの中では、おじいちゃんは今だ謎です…。
それでも、あたしはこの家族が大好き。
寂しくなんてないもん‼︎

