一番最初に食べた卵焼き。
口いっぱいに甘い香りが広がる。
…普通にうまい。
「美味しい?」
「まぁ、良いんじゃね?」
「もう‼︎素直に美味しいって言ったら、どうです⁉︎」
「…めっちゃうまい。なんなら、デザートに一花も食べちゃいたい感じ」
「バ、バカぁ‼︎お触り禁止ですよぉ‼︎」
まだ何も触ってないんだけど。
キスで精一杯の一花にはまだ早いか。
俺らは、俺らのペースで良いもんな?
「紫音‼︎もっと褒めて下さい‼︎」
「頭撫でてやろっか?」
「うんうん‼︎あたし、紫音にナデナデされるの大好きぃ〜……」
「俺、けっこー我慢してんだけど。早く食わせねぇと浮気するぞ」
「え……。それはヤダ…っ」
俺に寄り掛かり、マジで泣きそうな顔。
可哀想な事した…。
「他の女の子はダメ…っ。あたし、なんでもするからぁ…」
「ごめん、ごめん。嫌な事したな」
「うぅっ〜…好きです…」
小動物を泣かすべからず。
笑顔とかすげー可愛くてさ。
バカみたいに惚れてる自分がいる。

