まさか………俺のため?
唇を尖らせていじける一花を抱き寄せると、恥ずかしそうに俯く。
「この前、紫音がお弁当食べてくれなかったから……」
「俺が?」
「うん…。大輝君は卵焼き食べてくれたけど、紫音食べなかったもん。好きな人に食べてほしい……」
「…ん。ありがと」
「えへへ‼︎良かったら、どーぞっ」
どこまでも可愛いヤツ……。
我慢してる俺を知ってか知らずか、腕にぎゅっと抱きつく。
弁当の蓋を開ければ、色鮮やかなおかずの種類。
「すっげー………」
「全部手作りで頑張っちゃった♪紫音ママのお弁当に勝てるか分かんないけど」
「俺、親に弁当作ってもらった事ねぇの。だから……嬉しい」
「ほんとに?それなら良かったです‼︎あたしも……ママにお弁当作ってもらった事ないから」
一瞬、悲しい笑顔を浮かべた。
一花の口から聞いた事がない両親の話。
じいちゃんとばあちゃんと住んでるんだっけか……。
「それよりも‼︎食べてみてよ‼︎」
「…そうだな。いただきまーす」
一花から無理に聞こうと思わない。
いつか話してくれれば良いし。

