【一花side】



ガヤガヤと騒がしい人々。


重たいスーツケースをガラガラと引っ張る。


あたしよりもずーっと背の高い人の波に飲まれそう……。



あたし、初めて1人でアメリカ来てます‼︎


紫音が飛行機のチケットを取って送ってくれたの。


冬休み中ほぼ、コッチにいる予定です。


聞こえる言葉は全て英語だし、電光掲示板も看板も全部、全部……。


楽しいけど、ドキドキするよぉ〜‼︎



なんとか、人の波をくぐり抜けて国際線を出た。


背の低いあたしが精一杯背伸びをして回りを見渡す。


その時、低くて優しい声に呼ばれた。


「一花‼︎」

「…あ、紫音‼︎紫音だ〜‼︎」

「ははっ‼︎突進すんなよ、チビ‼︎」


ぐしゃぐしゃと頭を撫でられ、ぎゅーっと抱きしめられる。


紫音の匂いだ……。


「寂しかった?俺いなくて」

「すごい寂しかった…。むぅ〜…紫音、もっと抱っこ…」

「随分素直じゃん。ちゅーしちゃう?」

「しません‼︎」


調子の良いとこはいつも通りなんだから‼︎