体力の無い息遣い。
今にも涙が溢れそうな顔。
全てが俺を煽るには十分な材料で。
「紫音…っ」
「もうちょい先進んでみる?」
なんて、スエットの中に手を入れ掛けた時だった。
––––––––バンッ‼︎‼︎
「何してんの‼︎この…マセガキ〜‼︎」
急に開いた部屋のドア。
仁王立ちで俺を睨み付けるのは………
「げっ‼︎ババア‼︎」
「はぁ⁉︎誰がババアだコラ‼︎つーか、まず女の子の上から降りろ‼︎」
「痛っ‼︎ちょっ…なんで叩かれなきゃねーんだよ‼︎」
「うっせ‼︎黙ってろ‼︎」
俺を叱り付けて、一花にはニコッと営業スマイルを向ける…母親。
一花は慌てて起き上がった。
「す、すみません‼︎あ、あの…森野一花です‼︎」
「ごめんなさいね〜。うちの子ほんっとにどうしようもないヤツで‼︎イチゴちゃん♪」
「一花です……」
タイミング悪過ぎ。
母ちゃんのおかげで、俺の計画全て台無し。
制服の乾燥が終わると、母ちゃんが一花を家まで送りすぐ帰った。

