いざ、お父さんのお部屋に入ると体中に緊張が走る。
膝震えてるよ……。
あたしに気を使う様に、お兄ちゃんが前に立ってくれた。
「お父様。要望通り一花を連れて来ました」
「一花、お前は誕生日に結婚する予定だったが……出来ないらしいな」
「…はい」
「すでに別な男と結婚しているとは…。婚約者にどう示しを付けるつもりだ」
あたしに送る視線は怒りそのもの。
怒りたいのはこっちです‼︎
「お言葉ですが、お父さん‼︎勝手に婚約を取り付けたのはお父さんでしょう⁉︎」
「なっ、何を……」
「急にお父さんが現れて、急に婚約なんて…自分勝手過ぎです‼︎自分の幸せは自分で掴みますから‼︎」
息を整えて顔を上げると、唖然としてるお父さん。
なんだかもう、この場にいちゃダメな気がする……。
「失礼します…っ」
走ってお屋敷の外に出た。
手も足も震えて、涙も出そうになる。
怖かったー………。

