俺様には甘いイチゴを。




夕方、帰り際に一花も俺の見送りのため外に出て来た。


踵の高いサンダルを履いてるせいか、いつもより背が高く感じる。


「えへへ‼︎夕方でも暑いね〜」

「夏だからなー。一花に見送られたら、俺帰れねぇんだけど」

「どうして?たまには良いでしょ?」

「途中までな。心配だから」

「…分かった。じゃあ、角のバス停までね」


可愛らしく笑ってみせた。


角のバス停はすぐ目の前。


2人で手を繋いで、同じ歩幅で遅めのスピード。


「ここ最近、慌ただしかったよね。疲れてない?」

「全然。お前こそ大変なんじゃないの?」

「ううん。紫音と結婚出来るって考えたら嬉し過ぎて‼︎逆に眠れないの‼︎」


指輪もあげてないし、プロポーズの言葉すら伝えてない。


それなのに、コイツは嬉しそうに話す。


………ごめんな。



「あっ‼︎結婚したら森野一花じゃなくて、龍崎一花になるんだよね‼︎ふふっ‼︎嬉しい〜‼︎」


顔を赤くして俺を見上げる。


俺も、正直に気持ちを伝えるな。