一通り話終わり、デスクの椅子に座ったままの父親に目を移す。
思ったよりも冷静な表情だった。
「なーんだ。びっくりしたぁ〜…。ベビー作っちゃったと思った」
「俺そんなことしません」
「俺の息子だからやりかねないでしょ」
なんて冗談で笑わせてくれる。
少しだけ安心出来た。
「俺は別に良いよ。ママには言った?」
「まだ何も言ってねぇ…」
「そっか。帰国したらちゃんと言うんだよ?」
「ん…分かった」
「でもね、これだけは約束して?」
くるっと椅子を回転させて、俺に背中を向けた父さん。
どんな表情してるだろうな……。
「必ず一花ちゃんを幸せにしなさい。お前が後悔しない道なら俺は全力で応援するよ」
初めて父親をカッコイイと思った。
俺は全然未熟……。
「そして最後にもう一つ。小さい頃によく言ってたけど…女の子は泣かせちゃダメです。以上‼︎」
振り返った父さんの笑顔に、泣きそうになった。
俺、一花のこと幸せにしてみせる。

