俺の腕をぎゅっと掴む姿は、きっと悩んでる証拠。
俺はもう答えなんて決まってる。
「3年生になった時の進路希望調査覚えてる?」
「あぁ。覚えてるよ」
「紫音はデザイナーさんになるのが夢だったよね。あたしは……まず、紫音の夢を叶えてほしいの」
一花の言葉はすげー嬉しかった。
でも…ダメだ。
「紫音が夢を叶えたら迎えに来て?」
「却下。他の男んとこ浮気するつもりか、チビ」
「ふぇっ⁉︎」
「側にいてやるって言っただろ。お前も覚悟決めろよ」
悩んでばっかで答え出せない一花じゃないよな。
俺に正直な気持ち言えたじゃねーか。
一花はふわっと大きく笑い、もう一度俺に抱きつく。
「覚悟決めました。わがままでごめんね…。あたし紫音といたい…」
「よし。じゃあ、俺も頑張るか」
反対されることは重々承知済み。
覚悟の上で父親の元へ行くことにした。

