【紫音side】
一花の心の底からの正直な気持ちを聞いて、俺も決心ついた。
どんなに苦労したって良い。
俺は一花の側にいたい。
一花じゃないとダメなんだ…。
そして、夏休みに入りすぐのこと。
旺太さんに呼ばれて一花の家に来た。
「急に呼んでごめんね?紫音君に話があるんだ」
「全然大丈夫です。一花は?」
「部屋にいるよ。2人で話しくたくてさ……」
俯き気味に目を逸らした。
あんまり良い話じゃねぇな……。
テーブルを挟んで向かい合わせで座り、旺太さんは小声で話す。
「一花の婚約のこと…知ってるよね?」
「はい。誕生日に結婚させられるって、アイツ泣いてましたから……」
「そっか…。でもね、一つだけ突破口見付けたんだ。結婚させない作戦ね」
「えっ⁉︎ほんとですか⁉︎」
「もちろん。まぁ…簡単なことじゃないけど…」
困った様に笑った旺太さんは、ぐっと前のめりになった。
「一花の誕生日がくる前に、紫音君と籍を入れる」
籍を入れるって………。

