俺様には甘いイチゴを。




夏特有の生温い風が頬を撫でる屋上。


フェンスに寄り掛かる紫音の横に並び、背の高い彼を見上げた。


あぁ……離れたくないな…。


「なぁ、話ってどんな話?」

「あたしも言いたいこと、まとまってないの…」

「なんだよそれ。でも、別れ話だけは絶対受け付けねぇ」


いつも以上に真面目な顔。


嬉し過ぎる紫音の言葉に確信した。


だって、本当に大好きなんだもん。



「あたしね…結婚させられるかもしれないけど…。ずっと一緒にいたいです‼︎紫音の側から離れたくない‼︎」


シーンとした屋上で叫んだ。


心の中を全部、言葉にした。


紫音の反応を見るのが怖くて、ぎゅっと目を瞑る。


すると、背中に手が回り抱き寄せられ、紫音の香りに包まれた。


「一花の気持ち聞けて決心ついた。何があっても側にいてやる」

「ほんとに、いてくれる…?」

「つーか、俺が一花から離れらんねぇわ。他のヤツになんて絶対やんねぇ」


ぶわっと目頭が熱くなる…。


束縛紛いな台詞がこんなに嬉しいなんて、相当好きです……。