俺様には甘いイチゴを。




下校時刻のピークを過ぎた夕方、一花を送って家に帰った。


帰宅途中はいつもより会話は少なめだ。


何も言えない俺が情けない……。



家に帰れば、母親がキッチンに立ってた。


珍しい〜……。


「そんな物珍しい顔で見るんじゃなーい‼︎」

「いっつもあんまり作んないじゃん」

「たまには作りますよ〜‼︎今日の晩ご飯はハンバーグ‼︎」


明日雨でも降んじゃね?


なんてことは言えないまま、ふと気になったことを後ろ姿に聞いてみた。


「あのさ……なんで父さんと結婚したの?」

「なんでって…好きだから?それ以外に理由って必要かしら」

「必要…ねぇな。てか、マジでそれだけ⁉︎」

「うーん……そうねぇ。強いて言うなら、若気の至り‼︎」


高校卒業してすぐ結婚したんだっけ。


若気の至りってアリかよ…。


「でも後悔してないよ。紫音産まれて楽しいし‼︎」

「そっか…」



俺にはまだ分かんない。


ただ、一花の側にいたいって気持ちは確かなもの。