帰りの車中、気を使ったお兄ちゃんは婚約の話に触れない。
その代わり、聞き覚えのあるアップテンポの洋楽をかけてくれた。
「この曲、俺の彼女好きなんだよね〜」
「えっ‼︎お兄ちゃん…彼女いるの⁉︎」
「おっ、妬いた?お兄ちゃんに彼女いて妬いちゃった?」
「ううん‼︎びっくりしたの‼︎彼女いなさそうだったから‼︎」
「失礼だなぁ〜‼︎高校から付き合ってる彼女いるんですー」
運転してる横顔はすごく嬉しそう。
彼女さんのこと大好きなんだね?
お兄ちゃんの彼女、会ってみたい‼︎
「なぁ、一花」
「ん?」
「俺も今の彼女と絶対幸せになる。だから、一花も紫音君と幸せになろうな?」
「なりたいけど…きっと…」
その先は考えたくないな…。
紫音がいないとあたしダメになる…。
「大丈夫‼︎俺がなんとかするから‼︎お兄ちゃんに甘えなさい。ほら、笑った〜‼︎」
あたしの髪をぐしゃぐしゃ撫でて、優しく微笑む。
お兄ちゃんの優しさは胸に染みるほど嬉しい。
だけど、いつか紫音と離れなきゃいけない時が来るのかな………。

