俺様には甘いイチゴを。




どのくらい時間が経っただろう。


気付けば、体育をしているクラスが変わってた。


そして、背後から屋上の重たいドアが開く音が聞こえた。



「やっと見付けた。嘘つきチビ」

「へっ⁉︎紫音⁉︎どうしてここに…」

「保健室行ったのにいねぇんだもん。心配になって探した…」

「ごめん、なさい……」

「別に良いけど…。なんか嫌な事でもあったのか?」


しゃがみ込みあたしの隣に座り、ぐしゃっと髪を撫でられた。


紫音の優しさで胸が苦しい……。


「黙ってても分かんねーよ。ツライなら全部話せ」

「…進路どうして良いか分かんないの。具体的な夢が無くて…」

「ふーん。漠然とした夢もねーの?」

「あるよ。紫音の側にずっといたい」

「ははっ‼︎十分、具体的。調査票に、龍崎紫音の嫁って書いとけ」


ふざけてる‼︎


だけど、至って真面目な顔であたしの顔を覗き込む。


「俺は、けっこー本気」

「紫音のお嫁さんになろっかな…」

「今年の8月以降ならいつでもどーぞ。男子は18歳からなんで」


意地悪に笑う紫音に、本当に甘えちゃおうかと思った。