俺様には甘いイチゴを。




小学生の頃はたくさん夢があった。


パティシエとか、キャビンアテンダントとか、トリマーとか……。


現実を感じ始めた今、将来の夢なんて分かんないや…。


「紫音は…将来決まってるの?」

「俺は服飾関係だろうな。専門とか行くんじゃない?」


紫音パパは有名ブランドのデザイナーさんで、紫音もモデルやってるから。


置いてかれてる気分です‼︎



そんな中で、将来の行き先について悩みが出来た。


授業中だって身が入らないの。


「ねぇ、紫音」

「ん?」

「お腹痛いから保健室行って来る…」

「大丈夫か?着いてく?」

「ううん。一人で行けるよ」



紫音にまで嘘ついて、初めて自ら授業をサボった。


暖かな太陽が眩しく、柔らかい風が頬を撫でる。


フェンスに指をかけてグラウンドを見渡すと、どこかのクラスが体育でサッカーしてる…。



「はぁ〜………」


溜め息ばかり溢れて、夢なんて浮かびもしない。


紫音の側にいたい…ってことしか浮かばないもん…。