いくら友達だとしても、あたしの隣は彼じゃない。
今すごく悪い事してる……。
虎太郎君の隣を歩いてるだけで、胸が苦しいよ…。
「一花ちゃん、どっか行きたいとこある?」
「ううん…。虎太郎君……本当にごめんなさい‼︎」
「どうしたの急に?」
「遊べないです…。あたし、紫音のこと裏切れなくて…っ、ごめんね…」
街中で多くの人々が行き交う中。
溢れる涙を我慢することが出来ない。
虎太郎君のことも困らせてごめんなさい……。
「泣かないでよ。なんとなく分かってた。俺が敵わないこと。俺こそ無理矢理付き合わせて、ごめん」
「違う‼︎思わせ振りな態度取ったあたしも悪いの…」
「もう良いから。いつもの可愛い笑顔で、彼氏に会いに行ってあげて?」
ハッキリ言えてスッキリした。
でも、幸せになる人の影で悲しむ人もいるって事を痛い程知った。
それでも、あたしには紫音しかいないのです……。
苦しくて泣きたくなる程会いたい…。
虎太郎君に別れを告げてから、すぐに紫音のお家へ向かった。
ちゃんと謝って仲直りしたいです…。

