【一花side】
朝学校に行った時、大輝君が教えてくれた。
紫音が熱出して学校休みだって…。
すごく心配でお見舞いに行きたいけど、素直になれない……。
もう知らないもん……。
放課後、1人で下駄箱にいるのが落ち着かなくて寂しい。
紫音と手繋げないんだ…。
あたしのくだらないお話を聞いてくれる人がいない…。
ぐるぐる考えてもダメなのに、涙が出そうになる。
1人、下駄箱を出ると冷たい風が全身を包む。
紫音がいるだけで温かいのに……。
溜め息を吐いた時、誰かに右手を優しく掴まれた。
「森野、さん…?」
「あっ…日向君…」
今一番会っちゃいけない人。
なんだか気まずくて目を逸らす。
「今日は彼氏と一緒じゃないんだ…」
「学校休みなの。熱出しちゃったらしくて」
「お見舞いとか行ってあげないの?」
「…うん。ちょっと…色々あってね‼︎」
作り笑いを浮かべて見せた。
だけど、日向君は悲しそうな顔であたしの頭をポンポンと軽く叩く。