唇に柔らかな感触。
じわじわと滲む血の味。
目を開けなくても分かった。
ケガしてる紫音と…キスしてる…。
あたしのファーストキスが、まさかこんなカタチになるなんて……。
ぐっと込み上げる感情が、熱い涙となり流れた。
「…くっそ…何泣いてんだよ。お前から来たクセに…っ。早く帰れよ…」
「ヤダ…帰んない、もん…」
「この状況でよく言えんな…。俺に犯されたらどーすんの?」
「…っ‼︎…紫音になら、良い…。それで、満足するなら…良いっ」
今だって震える程怖い。
でも、あたしが知らないところで紫音が傷付く方が……。
もっと怖い。
「バカじゃねぇの…マジ…」
悪口言いつつ、あたしのブラウスのボタンを掛け直す。
グッと腕を引っ張られ、床に座る紫音の膝に座らされた。
向かい合わせで距離近過ぎですっ…。
「俺何やってんだろ…。お前の泣き顔一番嫌いなのにな…」
「そうなの…?」
「好きな女の泣き顔なんて見たくねぇよ」
「………ふぇっ⁉︎」
「んだよ、その声」
だって‼︎
今、すすすす好きな女って………。

