全く気付いてない一花にもイライラする……。
俺の気持ち、なんも分かってねぇ。
「本当に友達だから…日向君とケンカしないでね?」
「ケンカよりさ…。あんなに断ってたヤツと友達になるんだ?」
「えっ…。紫音…」
「嫌なら嫌だってハッキリ言ってやれよ。どーせ、お前の事だから強く言えないんだろ」
別に責めたいわけじゃないんだ…。
ケンカしたいわけでもない。
なのに、一花に八つ当たりする始末。
「だって、勇気出して好きって言ってくれたんだよ⁉︎そんなの……強く断れないよ…」
「ふーん…。じゃあ、お前もうアイツと付き合えば?」
「どうして…?嫌だよ…。紫音と離れたくない‼︎」
「俺は、今の一花なら別れても良い」
あー……俺、バカな事言ったな。
後悔した時にはもう遅くて。
「…っ、1人で帰る…」
「一花…」
「また明日ね…」
目に涙をいっぱい溜める一花を1人で帰らせた。
追い掛ける事すらしなかった…。
今回は俺は悪くない。
無自覚すぎるアイツが悪いんだ。
心の奥底から思い込ませて、俺も一花に背中を向けた。

