俺様には甘いイチゴを。




俺の気持ちを知ってか知らずか……。


いつもの可愛い笑顔で、俺の制服の裾を掴む。


「紫音‼︎帰ろ?」

「ん。帰るか」


天然なとこも好きだけど、無自覚過ぎて困る……。



手を繋いで歩く、いつも通りの帰り道。


鼻歌交じりの一花は超ご機嫌っぽい。


「なんか嬉しい事でもあった?」

「うん‼︎ピン可愛いね〜って褒められたの‼︎」

「あー、その前髪の」

「そうです‼︎イチゴのピン可愛いって、日向君が」


ちょっと待った。


今すげー聞きたくない名前を聞いた気がする。


「日向君って…日向虎太郎?あの、しつこいヤツ?」

「しつこいって言うか……前はそうだったけど、今はお友達になったの」

「バーカ。下心あるに決まってんだろ」

「ないよ‼︎日向君は普通のお友達‼︎友達として好きって言ってたもん‼︎」


マジでイラつく……。


コイツ、現実知らな過ぎる。


ついこの間まで『好きだ』って言ってたヤツが、急に『友達として好き』とか意味不明だって。