そう強気に思っても不安になるのが、俺の悪いとこ。
たった10分間の休み時間に、日向虎太郎に呼び出される一花。
行かせたくねぇけど、引き止めるのもなんか…なぁ。
自然と一花がいる教室の出入口に視線を移してしまう。
「バカじゃん。紫音って指咥えて見てるだけで満足する人間なんだ?」
「おい、大輝。お前、彼女の躾なってねーぞ」
「あははっ‼︎ごめーん‼︎うちの茉夏ちゃん、思った事正直に言っちゃうんだよ〜」
「それ一番達悪りぃな…」
茉夏が言ってること間違ってない。
俺だって、指咥えて見てるだけは嫌だっつーの。
「紫音。前みたいに止めに入んなくて良いのかー?」
「良いよ。一花は絶対に俺から離れねぇから大丈夫」
「自分に言い聞かせて安心させてるだけでしょ。一花、案外モテるよ?」
「うわ〜…図星過ぎてキツイ。茉夏、少し口閉じろ」
「はーいっ」
一花は俺を裏切らないって、本当に信頼してるのは確か。
でも……やっぱりどこか不安はある。
アイツが俺から離れる事、前に1度だけ知った。
もうあんな気持ち味わいたくない。

