俺様には甘いイチゴを。




小走りで体育館裏の自販機まで来た。


そこにいたのは、左耳に所狭しとピアスを付けてる赤髪の男の子。


あのキレイな字から想像出来ない程のチャラ男さん⁉︎


いや、不良さん⁉︎


怖くて側に行けずにいると、バチッと視線が重なってしまった………。


「あの…」

「はっ、はぃ⁉︎」

「森野…一花さん、ですか?」

「そ、そうです…。えっと…日向虎太郎君…?」

「そうです」


見た目と真逆な、優しい声と態度。


それに、すごく整った顔立ち……。


紫音や大輝君と競り合えるぐらい。


なんで有名にならなかったんだろう…。


「俺、先月冬休み明けに転校して来たんですけど……一目惚れです」

「あ…ありがとうございます…」

「すげーイケメンな彼氏いるのは知ってます。だけど、俺ならあの人以上に幸せにする。付き合って下さい」


勢い良く頭を下げた彼。


男前できっと優しい人だけど………


「ごめんなさい‼︎気持ちだけ有難くいただきます‼︎失礼しますっ」



日向君を残したまま言い逃げです…。


紫音への罪悪感が溢れちゃう……。