俺様には甘いイチゴを。




「嘘、でしょ…」

「俺の言った通りでしょ?アイツ、一花ちゃんに溺愛だし‼︎」


確実に私服姿の紫音だ…。


寒い中待っててくれたの…?


「大輝君…ありがとう‼︎」

「俺は何もしてないよ〜。ほら、早く紫音とこ行ってやって?」

「はいっ‼︎」



走って下駄箱を出て、玄関先に立つ紫音の背中に抱きついた。


大きくて温かい……。


「ったく、どこのイノシシかと思ったらチビかよ」

「ふふっ、鼻真っ赤になってるよ?」

「うるせーよ‼︎バカ‼︎お前のせいで、アメリカ先延ばしになったんだからな〜」

「そうなの⁉︎じゃあ……今日は…?」


首を傾げたあたしに、紫音の顔が更に赤くなる。


ふいっと横を向いて罰が悪そうに言った。


「クリスマス…2年目も一緒にいてやれないとか彼氏失格かなって…」

「わざわざ撮影ずらして、学校まで来てくれたの…?」

「バカなんだから余計な詮索すんな‼︎」

「すっ、すいません……」

「帰るぞ。撮影もデートも後日やり直しだ」


ぶっきらぼうに言い放ち、あたしの右手をそっと握った。


やっぱり、王子様みたいな人です…。