そんな時、ひょんな事から疑問が浮かんだ。
「イチゴ。お前、教科書使えてんの?」
「あぅ〜…それが水浸しにされたので、ヨレヨレで…」
「俺の使うか?」
「へぇっ⁉︎いやっ、でも、龍崎君使うでしょ?」
「俺、頭良いから無くても平気。ちょっと待ってろ」
部屋から持って来た教科書達。
それに、わざとらしくデッカく『龍崎紫音』って俺の名前書いた。
これで、イチゴの安全確保。
「これ、使っとけ」
「そんなのっ、悪いよ‼︎」
「じゃあ、ヨレた教科書と交換」
「ダメダメ‼︎もっと悪いから‼︎」
「黙って受け取れ、チビ‼︎イチゴ‼︎」
「はっ、はい……」
どうして、俺はこんなにイチゴに執着してんだろ……。
嬉しそうに口角を上げるピンクの唇も。
俺のモノにしちゃいたい。
自分の独占欲に寒気……。
「ありがとう‼︎龍崎君って優しいねっ」
「うるせぇよ、チビ…」
嬉しさ半分、照れ隠し半分。
ぐしゃぐしゃと柔らかい髪を撫でた。
ウサギとか、ハムスターとかそんな感じの小動物だよ、コイツ。

