そして、やっとヨーロッパから帰国した母親は一花がいないためにガッカリ。
息子だけじゃ不満足らしい…。
「お土産いっぱい買って来たのに‼︎」
「食いもんばっかじゃん…。一花のこと太らせんな‼︎」
「え〜‼︎だって細いもの‼︎少し食べた方が良いでしょ⁉︎」
「確かに細いけど……」
腕とか折れそうなぐらいだ。
膝に乗せてもすげー軽いし。
「あ、そうだ。久々にパパに会って来たの。紫音の成長褒めてたわ〜‼︎」
「へぇ〜。アメリカ行ったんだ?」
「まぁね。この際だから、行っちゃおうかな〜って‼︎」
俺が物心付いた時にはもう父親は単身赴任状態。
最低、盆と正月しか会えなかった。
「…親父んとこ、行きたいとか思わねぇの?」
「そりゃあ思うわよ〜。でもね、自分のモデルとしてのキャリアも着実に積みたいの」
「俺なら絶対無理……。親父ほど心広くねぇや…」
「あははっ‼︎普通はそうでしょ⁉︎あの人の心は宇宙並みよっ」
一花と少し離れただけで耐えられなかった。
大人になんきゃダメなのは分かってる。
けど、離れたくねぇんだよ。