そして紫音の誕生日の前日のこと。
夜9時過ぎに急に家のチャイムが鳴った。
「こんな夜に誰だろう…」
「大丈夫。俺が出る」
紫音は膝の上のあたしをソファーに乗せ、玄関先へ向かった。
ちょっと怖いな……。
玄関の鍵を開ける音が聞こえたと同時に大きな足音…。
「一花‼︎」
「へっ⁉︎お、お兄ちゃん‼︎こんな時間にどうしたの⁉︎」
「紫音君と一花に言わなきゃないことがあるんだ……」
スーッと息を整えたお兄ちゃん。
耳を疑う言葉が頭の中に響いた。
「一花が元の高校に転校した事、実家に住まずに紫音君の家にいる事……全部、父親にバレた」
嘘でしょ…?
また紫音と離れるの?
そんなの嫌だよ……。
「だから……ごめんね、一花。一度、お父様に会いに行こう」
「いっ、嫌‼︎また紫音に会えないもん‼︎そんなの…無理だよぉ…っ」
「必ず俺が手を打つから。信じて?」
「ヤダ…っ、もう離れたくない…」
お兄ちゃん、宥めてくれてるのに困らせてる。
ごめんなさい………。

