俺様には甘いイチゴを。




勢い良く教室のドアを開ければ、普通に現代文の授業中。


ま、いっか。


「おい、イチゴ‼︎」

「だから、一花ですっ」

「そんなに変わんねぇよ。ちょっとツラ貸せ」

「なっ、なんでしょう?」


不安気に俺の側に来た。


ちっせぇ………。


色素の薄い柔らかそうな茶髪に、真っ白の肌。


泣きそうに潤んでる目とか最高。



「コラ‼︎今授業中だぞ‼︎森野、立ち歩くな‼︎」

「怒んのこのチビだけ?」

「いっ、いや…それは…」


動揺する数学科の教科担任を横目に、一花を教室から連れ出した。


「何された?」

「へっ?」

「なんかあったから、俺んとこ来たんだろ?助けてやっから。言え」

「…あのね、教室の窓から教科書全部捨てられて…っ、水浸しで…」


大きな瞳から、大粒の涙を落とす。


女えげつねぇな……。



「誰にやられた?」


泣きながら一花が指差すのは、前の上履きの件のヤツら。


容赦しねぇぞ、コラ……。