”小説=著者”にとっての最大の募金とは、”消費者”の最大の利益を考えること。


つまり、価値ある小説を価値あるものとして”消費者”に届けることである。


価値ある小説とは、小説のシナリオ通り現実世界で未来実現を果たす小説を届けることに他ならない。


”消費者”の最大利益を考えることが、ひいては、小説の売り上げや映画の興行に繋がる訳で、これは、”出版社”、”映画会社”の最大の利益を考えていることにもつながる。


出版できるのに出版できないジレンマは、消費者の最大利益を考えている結果なのだということに、辿(たど)りつく。



普通に出版社から出版できないことを突きつけられると、小説シナリオを変更しなければならい必要に迫(せま)られた。


何をどのように書き換えれば良いか、おおよそ頭の中にあったものの、出版社に断られたことでヤル気が散漫し、何も手につかないでいた。


引きこもりを決めた生徒のように一日中テレビを見たり、ふて寝をしたりと先の見えぬ急カーブが続く。




そうこうしている内に年が明け、図書館でウェブ2.0に関する本を読み漁(あさ)る。


海外で親しくなった森村という男に、梅田望夫著の『ウェブ進化論』という本が今熱いと薦(すす)められたことがあった。


もともとネット関連に興味があった辻は、日本を空けていたこの二年間の知識を埋めたいという思いもあったからだった。






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