「四人が円になって座っています。お互い表情や行動が見えないように板の仕切りがあって、中央に募金箱だけが見えています。


あらかじめ四人には、1000円ずつ100玉で渡され、その中から中央の募金箱に、募金する事ができます。まったく募金しなくてもOK ね」


店長の隣のイスに座っていたしんちゃんは、答えを知っているような顔つきで、問題に集中する辻の目元を見て下唇を湿らした。


「募金されて集まったお金は、その金額を倍にして四人平等に返金されます。最終的に手元に残ったお金は、ゲームに参加した本人の者になります。


お互いがいくら募金したかは、仕切りがあるので分かりません。

そこで! 

辻くんなら、いくら募金しますか?」と質問する。


辻は、少し考えたが、小学三年生の算数を解くように「1000円」と答えた。


「おー! さすがだ。俺もそう思ったんだけど、実際には、そうならなかったんだよ」と店長が口にすると、しんちゃんは目を細め、ふくらはぎの上で小さく拍手する。


店長の説明によると、細かい金額は忘れたが、実際には、100円や600円と募金額が異なったらしく、別に正解があるわけではないという。