だが予想はしていたもののやはり現場で見る断崖は険しく、すぐに冷水を浴びせられた。


まず、原稿すら読んでもらえないサバサバとした声がほとんどであった。


そんな中、数社だけ審査を受付ているというので、早速、原稿を郵送することに。


この小説において出版・映画化の契約は、すでに書かれたこのシナリオ通りでなければならい。


そうでなければ、他の小説や映画となんら変わらない物になってしまう。


新しい時代を築くには、自分の力が足りないのか?


・・・、古い栄光に取り付かれた亡者(もうじゃ)のように、理解されても実行できないのかもしれない。。


いや、それとも、単に上手く説明できていないだけなのではないか?


辻は、荒狂う嵐の大風波の中で羅針盤を失い、なお明日の見えない航海を続ける船乗りと同じ不安でいっぱいだった。







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