ネットに詳しい人の分析によると、アフィリエイトプログラム利用者を含む小説の見所や内容を紹介するサイトは、この半年間で数百人から数千人規模のリンクに増大したのだという。


その結果、サイト間のコメントやトラックバックが網の目のように張り巡らされ、口コミが大きな効果を上げているらしい。

また、アフィリエイト報酬が毎月30万円を超える人や累計報酬が220万円に達したという報告は格好の話題となる。


仮にネット上で、50万部売れた場合、約4000万円のアフィリエイト報酬市場が存在することを意味していた。


派手な新聞・雑誌広告は一切なく、一般の書店にも置かれていないSF小説『セカンド ソート』は、ネット上で順調に増刷を繰り返していた。


だが、その破竹(はちく)の進撃も、30万部を売り上げた辺りから鈍り始める。


辻は、もしこのまま順調に50万部まで売れるなら、ネット上だけで販売したいと思っていたが、今回の減速を受け、以前は視野になかったリアル書店での販売解禁を決断しのだった。


彼は、紙の材料であるパルプ資源と物流コストの無駄につながる従来の委託販売には懐疑的(かいぎてき)であった。


よって、それらの無駄を解決できる環境問題に意識的な書店との直接販売契約を結んだ。


書店にとってこの契約は、通常の問屋を通して委託販売で得られる利益と遜色(そんしょく)ない契約内容。

また、辻にとってもアマゾンとの契約で得られる利益とほとんど同等であった。


これを機に一部のリアル書店もで、辻の小説が販売されるようになる。


よくやく、一般の消費者の目にも留まるようになった辻の小説は、リアル書店とアマゾンの両方で相乗効果を生み、さらに販売部数を伸ばしたのだった。







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