五年後に他の誰かが実現させるなら、なぜ、今の自分ではないのか?

僕がこのまま五年活動し続ければ、いずれ実現するのか?

それらは、いくら考えを巡(めぐ)らせても、辻には分からないことだった。




しかし、ある日を境に、再び辻のケータイ小説とブログが脚光を浴び始める。


ウェブ常連者の説明によると、ある特定のアルファーブロガーと呼ばれる人たちが関係しているのではないかという。


『バナナの実』の小説に興味を持った、何千、何万という特定の読者を持つアルファーブロガーが、そのシナリオや辻のブログを紹介。


そして、そのリンクを辿(たど)ってケータイ小説やブログに触れ、辻のシナリオに興味を持った読者が急増したのではないかという推論だった。


ウェブの世界でも現実の社会同様、ある人は10人と知り合いだが、他のある人は、100人、1000人の知り合いがいるというように、人と人、サイトとサイトのつながりには、濃淡がある。


ネットマニア、小説マニア、映画マニア、その他どのような人々が辻の小説やブログに興味を持ち出したのかは不明であったが、その勢いは、まるで生き物が成長するかのようにウェブ上で巨大化していった。






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