季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く

順平の元から離れて、ほんの数ヶ月で壮介と知り合い、付き合い始めた。

順平と別れてから3年、壮介と付き合い出して3年。

壮介と別れてから、まだ1週間。

恋人ではないけれど、今、私の隣にはなぜか、あの頃とは違う順平がいる。

不思議なものだ。

人生、何が起こるかわからない。

「今日、ウエディングドレス着てバージンロード歩く予定だったのにな。」

口から勝手にそんな言葉がこぼれ落ちた。

順平は窓の外から視線をゆっくりと私に移し、小さく笑った。

「だっせぇ。いつまでもあんなつまらん男引きずってんなよ。ウエディングドレスはいつかもっといい男の横で着たらいいんじゃね?」

口は悪いけど、これは順平なりの励ましの言葉なのかも知れない。

私も少し笑った。

「そうだね。そうする。」

「まぁ…そんないい男がオマエを選べばの話だけどな。」

「相変わらず一言多いよ。私も努力するし。もっと綺麗になりたいって思わせてくれるような人を探すから。」

「ばぁさんになる前に嫁にもらってもらえるように、せいぜい頑張りな。」

「ハイハイ。いつか綺麗になった私に、結婚してくれって泣きついても知らないからね。」

「言ってろ、バーカ。」

私がどんなに綺麗になったところで、順平は目もくれないんだろうな。

絶対に順平よりいい男を見つけてやるから。