ゼロが小さく上空を睨むと


光がふっ、と消えて町の空気が元に戻った。






ゼロはふぅ、と息を吐く。




「面倒なことになる前に行くぞ。」




そう言うと、ゼロはくるりと向きを変えて歩き出す。





「え、待って!ゼロ!」





私は急に私を置いていく勢いで早足になったゼロを追いかける。







その時、急に辺りの空気が冷たくなった。





「嬢ちゃん!危ない!!」




「えっ?!」






男性の声が聞こえて振り返ると



背後からいきなり目の前に蒼い光の矢のようなものが私をめがけて飛んできている。





戦闘中に発せられた矢がこちらにまで飛んできたようだ。







「きゃぁぁっ!」







落ち着いていた町の人々が叫びだす。




私はとっさに目を閉じて腕で防御姿勢をとった。






だめだ!当たる!







そう思った時




隣にいたゼロが素早く私を守るように前に立ち、矢に向かって手を突き出す。







藍色の瞳がカッ、と光った。






ゼロの手から金色の矢が飛び出し
飛んできた蒼い矢と衝突する。









パァン!










衝突した位置から空気が弾けて
辺りに大きな衝撃波が伝わった。