『ほら…聞こえるか?フィオネ。お前を呼ぶ声が。



お前には、お前を待つ仲間がたくさんいるんだぞ。もう、昔のお前とは違う。




みんなのところに行きなさい。』







私は、ジェノバから少し離れると、再び
彼を見上げた。





彼は、小さく頷く。






「……行ってくるね、ジェノバ!」






私はそう言ってジェノバに背を向けた。







『行ってきな。わが娘よ。広い世界を見ておいで。』







背中から、ジェノバの大きな声が聞こえる。






私は、涙を拭うと、空間の光の出口へと
走り出した。








心の中で、私は呟く。








ジェノバ。






私、辛いこともたくさんあったけど



たくさんの優しい人たちに出会えたよ。






いっぱい優しい言葉をかけてもらったよ。






ゼロの隣で、忘れていた心からの笑顔を、取り戻すことが出来たよ。





人を信じれるようになったよ。







ありがとう、ジェノバ。







またね………!







私は光に向かって大きく地面を蹴って飛び込んだ。






一気に目の前が眩しくなる。










私は、ぎゅっ、と目をつぶった。