ジェノバの病を、ずっと魔法で治してあげたいと思っていた。




でも、それは結局叶わなかった。




死んだ人は、魔法でも蘇ったりしないことも知った。






すべては、ゼロとの出会いが教えてくれたことだ。







ゼロ……。







もしも、あなたが私の前に現れなかったら




もしも、あなたが少年の姿にされて、都市を出ていなかったら





私はずっと魔法使いを憎んだままでいたかもしれない。






こんな強くて優しい魔法使いたちがいることを、一生知らなかったかもしれない。






今度は、私がゼロを救う番だ。






私が、もし。





もう一度魔法が使えるなら。






ゼロ、あなたを助けるために使う。






私は、ネックレスを握りしめながら
強くそう誓った。





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私たちが外を見張ってから一時間が経過した。




辺りは、もうすっかり夜だ。