ゼロが初めて歩み寄りの姿勢を見せている




ジンも、少し驚いた様子を見せたが、
すぐに答えた。




「月の塔に行って、ドロシーの部屋を借りようと思ってるんだ。

丁度ブラッドさんもいるしね。」




なるほど。




確かに、あそこなら広さは問題ない。



ドロシーも、当日の作戦について知っておいてもらったほうが良さそうだ。





地響きとかが起こったら、対処をしてもらわないといけないし。




すると、レオが、ふっ、と笑って



「じゃあ、決まりな。俺たちは王さまと先に行ってるから、後から来いよ。」



と言って、扉をパタン、と閉めた。






私は、そっとゼロの方を見る。





彼は“王さま”と聞いて何やら不快そうな顔をしていたが、そこはケジメをつけているようだ。




すぐに元の表情に戻って、私に言う。





「じゃあ行くぞ、フィオネ。」





私は急いで外套を羽織って、部屋の扉を開けた。