「最果ての丘を、目的地にしたのは…
周りに自然しかない場所だから、大きな魔力を使ったとしても被害が出ないと思ったからだ。」







そこで……




ゼロは元に戻るために…



大きな魔力を使うつもりってこと……?









ゼロはまっすぐ私を見つめて言った。




逸らそうともしなかった。







「俺は今日から二日間宿を“留守にする”



……鍵はかけない。


魔法で結界を張ったりもしない。」








今日の私は冴えているみたいだ。





ゼロの言葉の意味がすぐにわかる。








“逃げようとするなら、逃げていい。俺は追わない。”







「じゃあな。」と、ゼロは立ち上がると
私を置いて、扉へと歩いていく。







振り向くことは、ない。












───パタン。







と、扉が閉まる。








テーブルの上には、私が残したゼロの分のココアが手をつけないまま置かれていた。