「しかし、お前の存在が大きく世間に知られれば、王位継承問題や、先代の王の禁忌のことなどが全て明るみになり、国は混乱するだろう。

リベリオンの奴らも混乱に乗じてくるかもしれない。」





ゼロは、ダリシーンの言葉に
表情を変えずに答えた。





「…心配しなくても、俺は王位に就こうなんて考えてない。

…今では、復讐をしようとも、考えてないよ。」





私はぱっ、とゼロの顔を見た。




とても嘘を言っているようには見えない。




ゼロ…復讐をするために旅をしてきたのではないの?





ダリシーンも驚いたようにゼロを見る。





少しの沈黙の後、ゼロが口を開いた。




「ルークに、“お父さまの魔力は僕がもらうから”って言われたよ。


……魔法は自力で解く、と伝えてくれ。」





私は、その言葉の意味がわからなかったが


ダリシーンは真剣な顔でその言葉を聞いて、かみしめた。





「わかった、伝えておく。

……お前の旅が成功することを願おう。」




ダリシーンはそう言うと、私たちにくるりと背を向けて、部屋から出て行ってしまった。