ダメだ。



最近は、ゼロの優しさに慣れてきてしまっていたから。




少し気持ちを緩めすぎていたのかもしれない。





なんだか、想像してた以上にショックだな…。






その時、ゼロが、私の方を振り向いて
言った。






「フィオネ、そろそろグランに顔を出しに行こう。

今日泊まるところを確保しないといけないからな。」





ハッと我にかえる。



そうか。


都市に来た理由は、最果ての丘に行く為に通らなくてはいけないから、ということもあったけど




グランさんに会いに行くことも一つの目的でもあったんだ。




すると、ゼロの言葉にラグナが



「もし、グランさんに追い返されたらここに泊めてあげてもいいわよ。

…お金はとらないから。」



と、言ってくれた。





ゼロは、ありがとう、と笑うと

私を連れて、店を出て行こうとした。




その時、ラグナが呼び止める。




「ゼロ!都市を出て行く時、また店に寄って!


……絶対よ!」




ゼロは黙って頷くと、扉を開けて、


私と店を出た。