家の中に入る。匂いが濃くなる。

「すごい臭いだな。さぞかし酷かったんだろう……。」

「はい。……あ、ここが私の部屋です。」

襖を開ける。ついさっきまで暮らしていた部屋。

「えっと……普通の着物と袴、あとは鏡……。あ、あとお金……」

「金の事なんて気にすんな。ひとりや2人増えたところで変わりはしねぇし、鶴葉にもしっかり働いてもらうしな。」

「そうですか……ありがとうございます。でも、自分で貯めた分は持っていきたす。少ないけど……」

お手伝いしてコツコツと貯めたお金が少しあった。